しこり・腫瘍・腫れ
しこり・腫瘍・腫れ
「首が腫れた」や「首にしこりがある」といった症状です。痛みを伴うこともあります。いつからどこが腫れているか伺い、触診で硬さや表面がつるっとしているか、周囲の組織とくっついているか、皮膚が赤くなっているか等を確認します。当院では超音波検査(エコー検査)を行うことができます。しこりの映り方や、筋肉・脂肪の奥で外からわかりにくい他のものがあるか等が調べられます。
頸部の腫れ・しこりの原因として下記のものがあげられます。
リンパ節は免疫を司る組織です。外から細菌やウイルス、異物等の侵入があると、白血球や抗体を産生し、戦います。正常な方にも頸部に数十個以上あり、皮膚の浅い所にある方は普段から触れることがあるかもしれません。頸部のリンパ節が腫れる原因としては風邪等でウイルスや細菌と戦うために腫れていることが最も多いです(反応性リンパ節腫大)。歯の感染・歯科治療、首の皮膚湿疹からのこともありますし、結核等の特殊な感染症で腫れることもあります。
また喉頭がんや甲状腺がんなどの転移や悪性リンパ腫(白血球のうちのリンパ球のがん)によりリンパ節が腫れることもあります。いつからあり、大きくなってきているかといった情報や硬さや部位、可動性、超音波検査の所見を確認し、がんが疑われる場合は大病院へ紹介します。
甲状腺は喉仏(のどぼとけ)の下、鎖骨よりは上の高さにあり、甲状腺ホルモンというホルモンを作っている臓器です。甲状腺は比較的腫瘤を持っていらっしゃる方が多く、特に症状もなく気が付かれていないことがあります。
多くは良性のものですが、中には悪性の場合もあり、注意が必要です。超音波検査で甲状腺は観察することができ、腫瘤の性状や大きさ、また増大傾向があり悪性の可能性が考えられる場合には腫瘤に直接針を刺し、細胞を調べる検査(穿刺吸引細胞診)を検討します。また橋本病やバセドウ病などで甲状腺全体が腫れる(腫大する)ことがあり、その場合は血液検査を行ったり、内分泌内科を受診していただいたりします。
唾液腺とは唾(つば)をつくる組織であり、大きなものとしては耳の周りある耳下腺、下顎骨の下にある顎下腺、舌の下方にある舌下腺があります。
これら以外にも唇の裏や頬の粘膜にも小さな唾液腺は数多く存在します。
唾液腺に口から細菌が入り、炎症を起こしたり、唾液腺から口に唾液を出す管で石ができたりすること(唾石症)もあります。おたふくかぜは耳下腺が腫れる有名なウイルス感染症です。多くはありませんが耳下腺に腫瘍ができることがあります。炎症で腫れる際には痛みを伴うことが多いのに対して、腫瘍の場合は痛みがないことが基本になります。腫瘍で痛みがあるときは悪性を考える必要があります。
のう胞とは膜に囲まれ中に液体がたまっている病変を指します。
側頸のう胞・正中頸のう胞は卵から発達する過程で、のう胞ができてしまったものです。
小さいうちは気付かれず、お年を重ねてから中の液体が増えはっきりしてくることもあります。治療の基本は手術になります。